もう30年以上前かな
まだゲストハウスカルチャーの黎明期、
世界中のディープな旅人たちが
沖縄・若狭、波の上のゲストハウス柏屋に
たむろしていた。
酒とタバコと音楽。
ちょいワルでカッコいい大人たちの世界。
肩書きも国籍も関係なく、
夜が更けるほど人が濃くなっていく場所。
何より、宿主ヒロシさんの圧倒的な存在感があった。
情に厚くて、深く人を見抜いていて、
とことん向き合ってくれる人。
こんなタイプの大人に、
初めて出会った。
その場にいるだけで、
人が集まる理由を
なんとなく知った気がした。
私もその頃のひとり。
当時はサーカスの旅芸人。
若くて、無鉄砲で、
ここじゃないどこかを、
ずっと探していた。
地図の外にある何か。
名前のつかない居場所。
「まだここじゃない」
そう思いながら、
風景と人に混ざって
旅を続けていた。
そして巡り逢えた、運命の今帰仁村。
そこで築き上げたゲストハウス結家。
今、ここで旅人を迎えて23年目。
旅はどこかへ行くためだけじゃなくて、
辿り着くためのものだったんだって、
今なら分かる。
かつて柏屋で見ていたのは、
人が人として、ちゃんと受け入れられている宿の姿だった。
そこに焦がれた私が、
今、宿主としてこの場所に立っている。
柏屋が復活した今、
あの場所があったこと。
あの時間が確かにあったこと。
それが、また続いていくこと。
柏屋、
復活、本当におめでとう。
これから、那覇に行く理由ができました。
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