【2025年、結家女将のうむい】

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今年も、いろんな人に支えられてここにいます。
遠くから見守ってくれてたみんな、
出逢ってくれたみんな、
そばで支えてくれたヘルパーズのみんな。
ほんとにありがとう。
ずっと考えてた。
どうして私は、女将で、今ここにいるんだろうって。

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——そんなことを思っていた、その日。
雨の日だった。
坂道のカーブで、タイヤが突然スリップした。
「ヤバい」って思った瞬間、対向車が来てて
とっさにハンドルを切った。
誰もいない歩道側へ、思いっきり。
ガンッ

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縁石に乗り上げた瞬間
車体が浮いて、
ガシャン‼︎
視界がぐるっと回った。
気づいたら横転した車の中で、シートベルトで宙吊りになってた。
割れた窓から自力で這い出た。
車は大破

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私は無傷だった
死んでもおかしくない事故だった
なぜ生かされたんだろう
その問いを抱えたまま
そんなある日、届いたメール。
「しんしんが結ねぇを呼んでる」
身内の方から、危篤だという連絡だった。

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大阪の親友、ミュージシャンで、癌サバイバーの浅井しんや──しんしん。
こんな時に私を思い出してくれるの。。
即大阪に向かった
いた!
ベッドに静かに横たわってるしんしん
目が澄んで、光ってる
逢えた

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よかった。。
枕元で、身内の方が話してくれた
沖縄の話ばかりしてたって
結家に帰りたがってたこと、
浜辺の月や風、
あの時間、私たちの奏でた音のこと。
私は持って来た三線を

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枕元で、少しだけ弾いた。
そしたらぎゅっと手を強く握ってきて、
それを上に掲げて
「最高だ」って。。
また一緒にセッションしようね
絶対だよ
こんな最後の最後まで

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沖縄を
私を覚えてくれていて
本当にありがとう。

それから数ヶ月後。
忘れられないメラッちのこと。
メラッちがヘルパーをしてくれてたのは、9年前だった。

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こないだご家族が結家を訪ねて来てくれた。
メラッちが私があげたフォトブックを
最後まで大事に宝物みたいに持ってくれてたって聞いて、胸が詰まった。
お母さんが言ってた。
「人生でいちばん楽しい時間だった」って。
ページをめくると、
そこには笑ってるメラッちがいた。

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私たちも、笑ってた。
内地で、
きっと何度もこのページを開いてくれてたんだと思う。
最後に、私の手書きのメッセージ。
「出逢って今までの時間が
私たちの共有財産です。
これからもよろしくね!」

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どんな気持ちで、
これを眺めていたんだろう。

彼らが亡くなって、
なぜ私は生かされてるのか。
それは、
私には役目があるから。

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ここで、みんなが帰って来られる場所を
守っていくため。
そのために、私はいる。
これからも女将でいて、
ここで、ずっと待ってる。
カテゴリー:女将